民法解説27 時効の完成 時効が完成しても援用しないと意味がありません
民法総則 (No.27)
時効 ⑤
4.時効の完成
( 1 ) 時効の援用
(時効の援用)
第百四十五条 時効は、当事者(消滅時効にあっては、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者を含む。)が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。
民法の23回目でやっています。忘れてしまっている人は見なおして下さい
- 援用:時効の利益を受ける旨の意思表示
※一定の事実状態が一定期間経過したのみでは、
時効の効果は発生しません。
必ず当事者の「援用」が必要です。
- 援用権者
当事者及び正当な利益を有する者・その承継人
( 2 ) 時効利益の放棄
(時効の利益の放棄)
第百四十六条 時効の利益は、あらかじめ放棄することができない。
※関連項目:相続放棄と同じ
原則:時効放棄の意思表示が必要
例外:時効放棄の意思表示が不要(援用権の喪失)
放棄の意思表示がなくても、時効完成後に弁済するなどの法律行為があった場合。援用権を喪失し時効援用ができなくなる。
※時効完成の事実を知らなくても喪失する(債権者の保護)
( 3 ) 時効完成の効力
(時効の効力)
第百四十四条 時効の効力は、その起算日にさかのぼる。
- 取得時効:「はじめから権利者であった」
※原始取得:後の取得者や抵当権者に対抗できる
- 消滅時効:「起算日に権利は消滅した」
※利息も発生しなかった事になる
※起算日:権利を行使できる時
民法の26回目でやっています。忘れてしまっている人は見なおして下さい
(4) 第三者との関係
- 時効完成前の第三者
原始取得の為当然に対抗できる
※当事者の関係になる
- 時効完成後の第三者
2重譲渡と同じように考える
※不動産においては登記が対抗要件
また物件変動で細かく解説します。