離婚の財産分与で家を分ける方法
今回は離婚の財産分与で家を分ける方法について解説させていただきたいと思います。離婚が成立し、預貯金等を分けることまではできましたが、家の名義変更はどうすればいいかわからないという方は多いと思います。今回のブログでは必要な書類や申請書の書き方を解説しますので、離婚の財産分与で家を分ける方法について知りたい方はご覧になって頂ければ幸いです。
目次
1 離婚の財産分与とは?
2 離婚の財産分与で家を分けるために必要な書類とは
(1) 離婚協議書・戸籍
(2) 登記済証・登記識別情報
(3) 住民票
(4) 印鑑登録証明書
(5) 固定資産評価証明書
3 申請書の書き方
(1) 登記の目的
(2) 原因
(3) 権利者・義務者
(4) 添付情報
(5) 令和〇年〇月〇日申請 ○○法務局 御中
(6) 課税価格と登録免許税
4 まとめ
1 離婚の財産分与とは?
「離婚の財産分与とは?」という疑問もあるかと思います。法律(民法)では以下のとおりとなっています。
(財産分与)
第768条 協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。 2 前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、離婚の時から2年を経過したときは、この限りでない。 3 前項の場合には、家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。 |
財産分与は、婚姻生活中に築き上げた財産を、離婚の際に分配することをいいます。上記の規定は離婚の相手方に財産分与を請求することができると定めています。
しかし、気を付けなければならないことは財産分与を請求できる期限があることです。離婚の時から2年までが期限となります。
2 離婚の財産分与で家を分けるために必要な書類とは
(1) 離婚協議書・戸籍
まず離婚の財産分与で家を分けるために必要な書類として挙げられるのは離婚後の戸籍です。なぜならば離婚の財産分与は「離婚」の財産分与ですので離婚が成立したことを証明する必要があるからです。
離婚が成立していたとして次に必要な書類は財産をどのように分けたかということを証明する書面です。具体的には離婚協議書等です。
なお、家を手放す側(持分を半分渡す場合なども含む)が以下のような書面に記名・押印することで離婚協議書の代わりとすることもできます。
(2) 登記済証・登記識別情報
財産分与する家の登記済証又は登記識別情報が必要となります。登記済証とは俗にいう権利証のことです。
また登記識別情報の見本は以下のとおりです。
仮に登記済証又は登記識別情報がない場合は事前通知又は本人確認情報の作成という手続きが必要となります。事前通知は家を手放す側(持分を半分渡す場合なども含む)宛てに法務局から送られてくる書類に署名・押印をして返送する手続きです。
本人確認情報の作成とは司法書士等の資格者代理人が、本人に間違いないことを確認し、その確認情報を作成して法務局に提出する手続きです。
(3) 住民票
離婚の財産分与で家を取得する方の住民票が必要となります。住民票はお住いの自治体で取得することができます。取得する際本人確認として身分証明書(運転免許証等)の提示を求められます。申請書と手数料(地方自治体によって異なります。(300円が多いです。なお、大阪市は300円))が必要です。
申請書は以下のとおりです(大阪市の場合)。
(4) 印鑑登録証明書
家を手放す側(持分を半分渡す場合なども含む)の印鑑登録証明書が必要です。気を付けるべき点はこの印鑑登録証明書は発行から3ヶ月以内のものが必要な点です。
(5) 固定資産評価証明書
財産分与する家の納税通知書・固定資産評価証明書(名寄帳)のいずれかが必要です。これらは家の名義変更に際して支払う登録免許税の算出に必要な書類です。
以下は納税通知書のサンプルです。
3 申請書の書き方
申請書の見本は以下のとおりです。見本に沿って解説します。
登 記 申 請 書
登記の目的 所有権移転 原因 令和〇年〇月〇日財産分与
権利者 (住所) (氏名) 義務者 (住所) (氏名)
添付情報 登記原因証明情報 登記識別情報(登記済証) 住所証明書 印鑑証明書
令和〇年〇月〇日申請 ○○法務局 御中
課税価格 金〇円 登録免許税 金〇円 その他事項 送付の方法により登記識別情報通知書及び登記完了証の交付を求めます。
不動産の表示 |
(1) 登記の目的
登記の目的は「所有権移転」と書きます。
なお、家を半分ずつの持分などで所有している場合「何某持分全部移転」と書きます。
(2) 原因
日付は財産分与が成立した日にします。
例 令和5年1月5日に離婚・財産分与の協議が成立→令和5年1月5日財産分与
令和5年1月4日に離婚・令和5年1月5日に財産分与の協議をした
→令和5年1月5日財産分与
(3) 権利者・義務者
権利者は家を取得する方、義務者は家を手放す方(持分を半分渡す場合なども含む)です。
なお、家を全て手放すのではなく持分の半分を手放す場合は持分を記載します。
例 ○○市・・・・・・
持分 2分の1
法務太郎
(4) 添付情報
登記原因証明情報は離婚協議書(登記原因証明情報)・戸籍のことです。登記識別情報がある場合は登記識別情報、ない場合は登記済証と記載します。住所証明書は住民票などのことです。
(5) 令和〇年〇月〇日申請 ○○法務局 御中
申請書を提出する法務局は決まっています。申請書とその添付書類は法務局に直接提出するか郵送します。
提出先についてはhttps://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/kankatsu_index.htmlをご覧ください。
(6) 課税価格と登録免許税
課税価格は固定資産評価証明書に記載されている「固定資産税の評価額」を記載します。なお、1000円未満は切り捨てます。
例えば評価額20万2315円の場合課税価格は20万2000円となります。登録免許税は課税価格に1000分の20をかけます。
なお、100円未満は切り捨てます。
4 まとめ
以上が、離婚の財産分与で家を分ける方法についてのお話でした。不動産登記は、専門的な知識が必要であり複雑です。したがって、各種専門家にお願いすることが安全であると思われます。
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