民法解説48 占有権 持っているものを守る権利「占有訴権」
物権 (No.48)
占有権
- 占有権 ➂ 占有訴権
復習:物権的請求権
物件が侵害された時には、それぞれの権利に基づいて、その侵害の除去を請求できる。
例:所有権に基づく物件的請求権
- 返還請求権
自己所有の土地の売買契約が解除された場合のその土地の明渡しの請求など
- 妨害排除請求権
隣地の竹木が倒れ自己所有の土地に木々等が侵入した場合にその木々を撤去する請求など
- 妨害予防請求権
隣地の竹木が自己所有の土地に倒れそうな場合の、 その木々を切除する請求など
※民法 No.33・34 画像下さい
忘れている方は必ず復習して下さい!
( 1 )占有訴権
(占有の訴え)
第百九十七条 占有者は、次条から第二百二条までの規定に従い、占有の訴えを提
起することができる。他人のために占有をする者も、同様とする。
※占有者は、物の所持そのものを確保するため、占有侵害者に
対して次の訴えができる
➀(占有保持の訴え)⇔ 妨害排除請求権
第百九十八条 占有者がその占有を妨害されたときは、占有保持の訴えにより、そ
の妨害の停止及び損害の賠償を請求することができる。
※隣地の竹木が倒れ自己占有の土地に木々等が侵入した場合に
その木々を撤去する請求など(立ち退きの請求等)
②(占有保全の訴え)⇔ 妨害予防請求権
第百九十九条 占有者がその占有を妨害されるおそれがあるときは、占有保全の訴
えにより、その妨害の予防又は損害賠償の担保を請求することができる。
※隣地の竹木が自己占有の土地に倒れそうな場合の、 その木々を
切除する請求など
➂(占有回収の訴え)⇔ 返還請求権
第二百条 占有者がその占有を奪われたときは、占有回収の訴えにより、その物の
返還及び損害の賠償を請求することができる。
2 占有回収の訴えは、占有を侵奪した者の特定承継人に対して提起することが
できない。ただし、その承継人が侵奪の事実を知っていたときは、この限りでな
い。
※占有していた車を奪われたり、居住していた家から無理やり
追い出されたりした場合にその返還の請求
( 2 )占有の訴えの提起期間
(占有の訴えの提起期間)
第二百一条 占有保持の訴えは、妨害の存する間又はその消滅した後一年以内に提
起しなければならない。ただし、工事により占有物に損害を生じた場合において、
その工事に着手した時から一年を経過し、又はその工事が完成したときは、これ
を提起することができない。
2 占有保全の訴えは、妨害の危険の存する間は、提起することができる。この
場合において、工事により占有物に損害を生ずるおそれがあるときは、前項ただ
し書の規定を準用する。
3 占有回収の訴えは、占有を奪われた時から一年以内に提起しなければならな
い。
( 3 )本権の訴えとの関係
(本権の訴えとの関係)
第二百二条 占有の訴えは本権の訴えを妨げず、また、本権の訴えは占有の訴えを
妨げない。
2 占有の訴えについては、本権に関する理由に基づいて裁判をすることができ
ない。
例:占有者であり所有者(本権者) でもある者が占有物を奪取された
(a)占有権に基づく占有回収の訴え
(b)所有権 (本権) に基づく返還請求
それぞれ別々に提起することができる (判決も別々に出る)。
※動画とこの記事を一緒に見てもらうほうが分かりやすいです。
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