ブロック塀の倒壊被害は所有者責任?
大阪北部地震によりブロック塀が倒壊し、死亡事故が発生してから3年が経過したものの、未だに過去の教訓を活かすことができず、地震による倒壊の危険があるブロック塀が数多く残っているようです。今回は、ブロック塀が倒壊し、被害が出たときの責任について解説します。
目次
- 1.ブロック塀の危険性
- 2.ブロック塀に関する規制は?
- 3.ブロック塀倒壊、被害が出た場合の所有者責任は?
- 4.ブロック塀倒壊により重大な事故が起きたら?
- 5.まとめ
1.ブロック塀の危険性
皆さんが日頃よく見かけるものは、空洞ブロックなどといわれるタイプです。ブロック塀の空洞に鉄筋を通し、そこへモルタルを流し込んで固定します。塀の高さなどによって使う厚さなどは変わりますが、軽いものでも一つ10㎏近くあります。高く積み上げられたブロック塀が地震などにより倒れ下敷きになってしまった場合、その衝撃は計り知れません。
2.ブロック塀に関する規制は?
建築基準法令は、大地震による災害が起きると法改正されることが多いようです。1968年の十勝沖地震を受け、3年後の1971年に建築基準法等が改正されました。その際にブロック塀に関する基準が作られています。その後、1978年の宮城県沖地震を受け、3年後の1981年に、また1995年の阪神・淡路大震災を受け、5年後の2000年に建築基準法等がそれぞれ改正され、ブロック塀に関する基準についても改正されており、現在に至っています。現在、ブロック塀の基準は、ブロック塀が1.2m超(ブロック6段超)の場合には、建築基準法施行例第61・62条の規定により、3.4m以内ごとに控え壁を設置するなどの安全対策を取らなければなりません。また、高さは最高2.2m(ブロック11段)までとされています。
3.ブロック塀倒壊、被害が出た場合の所有者責任は?
所有するブロック塀が地震などによって倒壊してしまい、人や物に被害を出してしまった場合に、その責任は所有者に課せられることになります。建築物の所有者には、工作物責任が課せられており、工作物の瑕疵によって他人に被害を与えた場合には、工作物の占有者、所有者が賠償責任を負うことになります。また、空き家などでも所有者は建物の管理をする必要があるので危険なブロック塀を放置することは厳禁となります。
4.ブロック塀倒壊により重大な事故が起きたら?
2016年4月に起きた熊本地震では、ブロック塀により重傷を負い後遺症が残った女性や、ブロック塀の下敷きになり死亡した男性の遺族が、ブロック塀の所有者に損害請求を求める訴訟を起こしています。倒壊した問題のブロック塀に基礎工事がされておらず、倒壊することは想定でき、所有者が工作物の安全義務を怠ったという主張です。請求額は二人合わせて6,800万円です。また、熊本では被害者遺族が、民事訴訟だけではなく刑事告訴をしています。2017年10月31日、熊本県御船警察署に刑事告訴状が提出されました。これを受け、警察が捜査を開始し同年11月に受理されています。長きにわたる裁判は金銭的、精神的にも大きな負担となります。有罪となれば、過失致死罪の刑罰と、前科がついてしまうことになります。
5.まとめ
ブロック塀が倒壊し、死亡事故が発生したものの、未だに過去の教訓を活かすことができず、地震による倒壊の危険があるブロック塀が数多く残っているようです。 仮に相続発生後、相続財産となっている不動産のブロック塀が倒壊し、事故が発生した場合、工作物責任によりブロック塀の占有者や所有者が責任を負わないといけないことから、占有者や所有者が被相続人の場合、その相続人が責任追及される可能性があります。 特に空き家などでは、こうしたケースが今後発生する可能性も大いに考えられます。 そのためにも相続手続を早く進め、予期せぬ事態に備えることが重要となってきます。
今回は、ブロック塀の倒壊被害は所有者責任について解説させて頂きました。司法書士法人やなぎ総合法務事務所では、相続手続きに関するご相談や、ご依頼を数多く扱っており、実務においても、相続手続きに経験豊富な司法書士、弁護士、行政書士、税理士、土地家屋調査士、相続診断士、CFP 等の専門家がご依頼の内容に全力で取り組みます。
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