令和6年4月1日に相続登記の義務化が始まり気になっている方もおられるのではないでしょうか。しかし、登記が義務になっているのは不動産だけではありません。会社の登記も義務になっているものがあります。その中でも今回は株式会社の役員変更を忘れるとどうなるかについて説明していきます。株式会社の役員変更をお忘れの方やこれから株式会社の役員変更を検討されている方は本ブログを見て参考にしていただけると幸いです。

 

目次

1 役員変更の登記をしないと罰則!?

 1-1 役員変更の登記をするべき時期

 1-2 役員変更の登記をしないと罰則!?

2 役員変更をしないと会社が解散させられる!?

 2-1 みなし解散とは?

 2-2 みなし解散がされるまでの手続きの流れ

3 役員変更とみなし解散がされた場合の登記

3-1 役員変更の登記

3-2 継続の登記

4 まとめ

 

役員変更をしないと罰則

はじめに株式会社の役員変更の登記はいつ行うべきなのか、また行わない場合はどのような罰則があるのかについて説明します。株式会社の役員変更の登記をする時期について知りたい方は参考にしていただければ幸いです。

 

 役員変更の登記をするべき時期

取締役の任期は別段の定めが無い限り、選任後2年以内、監査役の任期は選任後4年以内です。

定款又は株主総会の決議によって、その任期を短縮することも可能です(詳細につきましてはhttps://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00091.htmlをご参照ください。)。

 

また、公開会社ではない株式会社の取締役及び監査役の任期は、定款で定めることにより延ばすことができ、選任後最大10年以内となります。

公開会社とは、株式会社が発行する株式の全部又は一部を、株式の譲渡について株式会社の承認が必要という旨の定款の定めがない株式会社のことをいいます。株式を市場に公開しているかどうかは関係なく、株式会社の役員の変更の登記は、登記の事由が発生した時から2週間以内にしなければなりません。

 

役員変更の登記をしないと罰則!?

登記すべき期間が過ぎた後に登記申請を行ったとしても、期間内の登記申請を怠った代表取締役は、裁判所から100万円以下の過料に科せられる可能性があります。

役員変更をしないと会社が解散させられる!?

前述のとおり役員変更を忘れると、過料に科せられます。以下では株式会社の登記をさらに放置するとどうなるかについて説明していきます。

 

みなし解散とは?

株式会社の場合、役員の変更の登記等をしないまま、最後に登記をした時から12年を経過したとき、休眠整理作業の対象となり、その後も登記もしくは事業を廃止しない旨の届出をしない場合には、解散したものとみなされ、登記官の職権により解散の登記がされることになります。

実際は動いている会社でも登記申請を怠っていた場合、解散の登記がされてしまうことになります。そうなると会社の運営・経営に支障をきたすこととなり、また、継続の登記をしなければならなくなるため、費用もかかります。ご自身の会社の登記申請手続きが適切になされているかどうか、一度ご確認をおすすめします。

 

みなし解散がされるまでの手続きの流れ

全国の法務局では、毎年、休眠会社・休眠一般法人の整理作業を行っています。 

毎年10月頃、休眠会社又は休眠一般法人に対して、登記所から通知書が送付されます。その後、2か月以内に役員変更等の必要な登記、もしくは「事業を廃止していない」旨の届出をしなければ、実際には事業を継続していたとしても、みなし解散の登記がされることになります。登記所からの通知が何らかの理由で届かない場合であっても、同様にみなし解散の登記がなされるため、注意が必要です。

届出をする際は、登記所からの通知書の下段にある「届出書」に記載し、登記所に送付もしくは持参をします。また、代理人による届出をするときは、委任状の添付が必要です。通知書を利用できない場合には、書面に以下の事項を記載し、提出します。

 

  【届出書に記載すべき内容】

   (1) 休眠会社の場合 商号、本店並びに代表者の氏名及び住所   

   休眠一般法人の場合 名称、主たる事務所並びに代表者の氏名及び住所

   (2) 代理人による届出 その氏名及び住所  

   (3) まだ事業を廃止していない旨  

   (4) 届出の年月日     

   (5) 登記所の表示

不備があると、適正な届出として認められないことがあるため、正確に記載する必要があります。

「まだ事業を廃止していない」旨の届出をした場合であっても、必要な登記申請を行わななければ、翌年も「休眠会社・休眠一般法人の整理作業」の対象となるため、注意が必要です。

なお、この届出又は必要な登記申請がされた場合であっても、それ以前の登記を怠ったことについては、裁判所から過料に処せられる可能性があるため、変更があった場合は必要な登記申請を怠らないようにする必要があります。

役員変更とみなし解散がされた場合の登記

過料やみなし解散にならないためには役員変更の登記が必要ですが方法がわからない方もおられると思います。また、みなし解散になった場合に株式会社を継続する方法がわからないという方もおられると思います。以下では役員変更とみなし解散がされた場合の登記について説明していきます。

 

役員変更の登記

役員変更における株式会社変更登記申請書に必要な記載事項は以下のものとなります。

・会社法人等番号(分かる場合、記載する)

・商号(フリガナ)

 フリガナは会社の種類(株式会社)を除いてカタカナで左に詰めて記載する。

・本店(住所)

・登記の事由

 取締役及び代表取締役の変更など

 

添付書類としては以下のものとなります(非公開会社・取締役会非設置会社・取締役1人・再度就任の場合)。

・株主総会議事録

・株主の氏名または名称、住所及び議決権数等を証する書面(株主リスト)

・就任承諾書(株主総会の席上で被選任者が就任を承諾し、その旨の記載及び被選任者の住所の記載が議事録にある場合は不要)

・定款(株主総会議事録に取締役の任期が満了する旨の記載がある場合は不要。)

・委任状(代理人に申請を委任した場合のみ)

 

申請書の最後には、本店(住所)、商号、代表取締役の住所、代理人の住所を記載し、登記所に提出した印鑑を押印します。

また、代理人が申請する場合にのみ、代理人の印鑑を押印し、代表取締役の押印は必要ありません。

登記申請には、登録免許税を収入印紙または領収証書で納める必要があり、資本金が1億円を超える場合は3万円、1億円以下の場合は1万円となります。

 

継続の登記

みなし解散の登記後の3年以内に限り、 株式会社は、株主総会の特別決議によって、会社・法人を継続することができます。 

会社・法人を継続したときは、その決議から2週間以内に、継続の登記の申請をする必要があります。

株式会社継続登記申請書に必要な記載事項は以下のものとなります。

・会社法人等番号(分かる場合、記載する)

・商号(フリガナ)

 フリガナは会社の種類(株式会社)を除いてカタカナで左に詰めて記載する。

・本店(住所)

・登記の事由

 会社継続 取締役、代表取締役就任など

 

添付書類は以下のものとなります(非公開会社・取締役会非設置会社・取締役1人の場合)。

・株主総会議事録

・株主の氏名または名称、住所及び議決権数等を証する書面(株主リスト)

・就任承諾書

・印鑑証明書

・委任状

 

申請書の最後には、本店(住所)、商号、代表取締役の住所、代理人の住所を記載し、登記所に提出した印鑑を押印します。

また、代理人が申請する場合にのみ、代理人の印鑑を押印し、代表取締役の押印は必要ありません。

会社継続の登記申請には、3万円の登録免許税を収入印紙または領収証書で納める必要があります。

 

まとめ

以上が役員変更登記を放置すれば解散!?についてのお話でした。ここまでのお話をまとめたものは以下のとおりです。

 

役員変更

・取締役の任期は、別段の定めの無い限り、選任後2年以内に、監査役の任期は選任後4年以内です。

・定款又は株主総会の決議によって、その任期を短縮することも可能です。

・公開会社ではない株式会社の取締役及び監査役の任期は、定款で定めることにより、選任後10年以内に伸長することが可能です。

・役員変更については、選任から2週間以内に登記申請しなければなりません。

登記すべき期間が過ぎた後に登記申請を行った場合、期間内の登記申請を怠った代表取締役は、裁判所から100万円以下の過料に処される可能性があります。

 

役員変更をしないと会社が解散させられる

・株式会社の場合、役員の変更の登記等をしないまま、最後に登記をした時から12年を経過したとき、休眠整理作業の対象となり、その後も登記もしくは事業を廃止しない旨の届出をしない場合には、解散したものとみなされます。

・実際には活動している会社であっても、登記申請を怠っていると休眠整理作業の対象となり解散したものとみなされます。

毎年10月頃、休眠会社又は休眠一般法人に対して、登記所から通知書が送付されます。

・2か月以内に役員変更等の必要な登記、もしくは「事業を廃止していない」旨の届出をしなければ、みなし解散の登記がされることになります。

・届出をする際は、登記所からの通知書の下段にある「届出書」に記載し、登記所に送付もしくは持参をします。

・「まだ事業を廃止していない」旨の届出をした場合であっても、必要な登記申請を行わななければ、翌年も「休眠会社・休眠一般法人の整理作業」の対象となるため、注意が必要です。

 

役員変更とみなし解散がされた場合の登記

・過料やみなし解散にならないためには役員変更の登記が必要です。

・みなし解散の登記後の3年以内に限り、 株式会社は、株主総会の特別決議によって、会社・法人を継続することができます。 

・登記申請書に漏れなく正しく記載し、必要な書類を添付しなければならない。

・役員変更登記申請には、登録免許税を収入印紙または領収証書で納める必要があり、資本金が1億円を超える場合は3万円、1億円以下の場合は1万円となります。会社継続の登記申請には、3万円の登録免許税を納める必要があります。

 

 

この記事の監修者

代表社員  柳本 良太(やなぎもと りょうた)

柳本 良太

「法律のトラブルで困っている人を助けることができる人間になりたい」という思いから18歳の時に一念発起し、2004年に宅地取引主任者試験に合格。続いて、2009年に貸金業務取扱主任者試験、司法書士試験に合格し、翌2010年に行政書士試験に合格。2010年に独立開業し、「やなぎ司法書士行政書士事務所(現:司法書士法人やなぎ総合法務事務所)」を設立し、代表社員・司法書士として「困っている人を助ける」ことに邁進する一方で、大手資格予備校講師として多くの合格者も輩出。

その後、行政書士法人やなぎKAJIグループ(現:行政書士法人やなぎグループ)を設立、桜ことのは日本語学院の開校などより広くの人のための展開を行いながら活躍中。

モットーは「顧客満足ファースト」と「すべてはお客様の喜びのために」。

 

<保有資格>

・宅地取引主任者(2004年取得)

・貸金業務取扱主任者(20009年取得)

・司法書士(2009年取得)

・行政書士(2010年取得)

<所属法人>

司法書士法人やなぎ総合法務事務所 代表社員

行政書士法人やなぎグループ 代表社員

やなぎコンサルティングオフィス株式会社 代表取締役

桜ことのは日本語学院 代表理事

LEC東京リーガルマインド資格学校 元専任講師

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