昨日、9月7日(火)に、朝の情報番組 「羽鳥慎一さんのモーニングショー」にて、

「都会の好立地になぜ?歩道さえぎる空き家が…相続100人超メガ共有」といテーマで、“放置され続け荒廃となった空き家の相続人が100人を超える”という報道がありました。

今回は、相続の不動産問題と相続法の改正法について、解説したいと思います。

 

1.なぜ多くの共有者(相続人)がいるのか?

2.相続制度の改正理由は?

3.相続財産の保存に必要な処分を命ずる相続財産管理制度の見直し

4.相続人が明らかではない場合においての清算手続きの見直し

5.まとめ

 

1.なぜ多くの共有者(相続人)がいるのか?

土地建物の所有者が亡くなった場合に、相続登記をせずに放置しているため、相続人が多数人にのぼってしまうことがあります。

今回のニュースでは、東京都市部の好立地で約2億円相当もの不動産が、そのまま放置されてしまうという事態が起こっていたそうです。

これも、相続手続き・相続登記の実状相続手続きが影響して起こったことでした。

 

不動産所有者が死亡して相続が起こった際に、名義変更の登記をしないままで放置しておくと、1人または数人の土地所有者から何世代と移りかわるうちに、数十人の相続人による共有地となってしまうことがあります。

相続人の人数が増えれば、まったく会ったこともない遠縁の親族が相続人となることや、行方が分からない場合、あるいは病気や認知症等で判断能力がなくなってしまい相続手続きにおいて必要なお話合い(遺産分割協議)ができないといったケースも出てきてしまいます。相続財産というお金の分配に関わるところの取り決めですから、当然、関係者が多数人にのぼればのぼるほど、意見をまとめることも、困難になってきます。

 

今回の「相続100人超メガ共有」とまでいかずとも、「数十人の共有」というケースは、古くからある土地や山林等では、非常に多く起こっています。

 

つまり、相続手続きをしない状態が長期間継続することにより、相続手続きに関わる関係者の人数が増え、手続きが難航してしまい、せっかくの素晴らしい資産も放置されたままになってしまう・・・・こういったことが日本各地で起こっているのです。

 

2.相続法 改正で、放置相続不動産問題は解決されるのか?

こういった空き家問題や所有者不明財産が日本に多数あることから、令和3年の民法改正で相続や共有制度の見直しがなされました。

これらの改正は、所有者不明の土地問題が発端となっており、この問題の解決のために行われた法改正と言っても過言ではありません。

所有者不明な土地の多くは、遺産分割が未了となっている遺産共有地です。

また、共有地のなかでも、「共有者が多い」「遠方在住の共有者がいる」「行方不明の共有者がいる」等では、前述の通り、共有物の管理や共有関係の解消が困難になるという問題があります。

こういった共有関係にある所有者が不明の土地の円滑な利用・管理ができるように様々な民法の制度が見直されました。今回、ニュースでとりあげられた「相続財産清算人(旧管理人)」という制度で、行方不明者がいても手続きを進めることができるというのも、そのうちの1つです。

 

他にも、

  • 相続開始から10年経過後の遺産分割に対する強制処置
  • 長期間経過した後の不明相続人の持分の取得と譲渡
  • 相続財産の保存に必要となる処分を命ずる制度の見直し
  • 遺産共有と他の共有が共存しているケースの分割方法
  • 相続の放棄をおこなった者による管理
  • 相続人が明確でない場合の清算手続き見直し
  • 相続財産と共有に係る規定
  • 相続登記による義務化

などがあります。

一つ一つの制度については、次回以降また詳細をご解説をさせて頂けたらと思います。

3.まとめ

これまで多くの相続人がいて、手続きができずに放置されていたような不動産も、これらの改正によって、以前よりも手続きが簡易になり、相続人の負担が減りました。

また一方で、“⑧相続登記の義務化”により、今後、相続登記の手続きを怠った人には罰則を科されることになってきます。

これまで難航していた相続手続きや、何もせずにおいていた相続登記の手続きも、今回の入―スのような「100人超メガの相続人」とならないよう、お早めに手続きをしましょう。

 

司法書士法人やなぎ総合法務事務所では、こういった改正法も含めて、相続・遺言に関する無料ご相談をお受けしております。

今回の改正法をより詳しく知りたい・手続きが未了の相続不動産があって困っているという方も、お気軽にお問い合わせください。

 

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