相続土地国庫帰属制度とは?
目次
1.相続土地国庫帰属制度を創設 (令和5年4月27日施行)
2.相続土地国庫帰属制度、誰でも申請できるの?
3.どんな土地でも引き取りできるのか?
4.相続土地国庫帰属の手続きには費用がかかるの?
5.まとめ
1.相続土地国庫帰属制度を創設 (令和5年4月27日施行)
令和3年4月21日、「民法等の一部を改正する法律」及び「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」が成立し、大幅な相続手続きや不動産手続きにおける改正・見直しが行われました。前回の2021年12月号では、その内の「相続登記の義務化」について解説させて頂きました。(12月号配布ご希望の方は、弊社までお問合せ下さい)
しかし、中には、相続登記が義務だとしても、管理ができないとか、税金の支払いが大変なので「不動産を相続したくない」という方もおられることでしょう。売却して換金できれば良いですが、土地の利用ニーズが低下しているので、売却するにも相続人には負担となるケースが増えていると言われています。
そして、売却できない場合は寄付すればよいと考える方も多いですが、これまでは、国や地方公共団体に寄付したいと思っても、手続きは大変で、国や地方公共団体は、行政として利用する予定がなければ受けとってはてくれないという状況でした。そうすると、今回の改正では、相続したくないのに、登記までも義務化され、国民は負担が増えてしまう・・・では、そういった場合には、どうしたら良いのでしょうか。
ここをフォローするために、創設されたのが、「相続土地国庫帰属制度」です。
法務大臣(窓口は、不動産登記と同様に法務局です)の承認により、土地を手放して国庫に帰属させることを可能とする制度が新たに創設されました。つまり、簡単に言うと、これまでハードルが高かった国や地方公共団体への寄付の手続きのハードルを下げられたということです。
2.相続土地国庫帰属制度、誰でも申請できるの?
基本的に、相続や遺贈によって土地所有権を取得した相続人であれば、申請可能です。
制度の開始前に土地を相続した方でも申請することができますが、売買等によって任意に土地を取得した方や法人は対象になりません。また、土地が共有地である場合には、相続や遺贈によって持分を取得した相続人を含む共有者全員で申請していただく必要があります。
3.どんな土地でも引き取りできるのか?
どんな土地でも引き取ってもらえるのではなく、次のような、通常の管理又は処分をするに当たって過大な費用や労力が必要となる土地については対象外となってしまいます。
つまり多くの引継ぎたくない負の遺産ともいえる不動産は、結局国庫帰属制度も対象とならないケースが多いということを意味します。法務局への申請後、法務局職員等による書面審査や実地調査が行われ、法務大臣による審査が行われます。
4.相続土地国庫帰属の手続きには費用がかかるの?
申請時に審査手数料を納付する等、国庫への帰属について承認を受けた場合には、負担金(10年分の土地管理費相当額)を納付する必要があります。具体的な金額や算定方法は、今後、政令で定められる予定ですが、目安としては粗放的な管理で足りる原野約20万円、市街地の宅地(200㎡)約80万円と言われており、実際にはここが利用し難い面となってしまうことでしょう。
5.まとめ
相続土地国庫帰属制度は、かなりの制限と金銭的な負担がありますので、利用できないケースも多数発生するでしょう。相続の名義変更や具体的な手続きがなければ専門家には相談できないと、不安を抱えたままのお客様も多数おられようかと思いますが、私共士業は、引き継ぎたくない相続物件をお持ちでお悩みの方等も含めて、ご相談をお受けすることも大切な役割です。広く相続に関するお悩みご不安をお持ちの方は、お気軽にお問合せ下さい。
司法書士法人やなぎ総合法務事務所では、相続登記に関するご相談や、ご依頼を数多く扱っており、実務においても手続きに経験豊富な司法書士、弁護士、行政書士、税理士、土地家屋調査士、相続診断士、CFP 等の専門家がご依頼の内容に全力で取り組みます。
また、弊所では大阪(阿倍野区・阿倍野、天王寺)、東京(渋谷区・恵比寿、広尾)事務所にて「無料相談・出張相談」も受け付けております。どんな些細なご相談も親身になり耳を傾け、どのようなご依頼でもお客様のご希望、目的に近づけるよう励みます。お気軽にご相談、お問い合わせください。
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