民法解説10 瑕疵ある意思表示 錯誤 いわゆる勘違い
民法総則 (No.10)
法律行為・瑕疵ある意思表示
5.錯誤
( 1 )錯誤とは
錯誤とは、意思(考え)と表示(相手に言った事)が異なっていること。表意者自身が勘違いで意思表示をすることをいいます。
例:甲不動産を売ろうと思った。でも乙不動産を売ると表示してしまった場合。
( 2 ) 効果
一定の要件に当てはまる錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
➀売買(錯誤) ②売買
A B C
表意者 相手方 第三者
➂取消し
1.) 意思表示に対応する意思を欠く錯誤(表示行為の錯誤)
取消しできる。(善意かつ無重過失)→ Aの勝ち
例1:甲不動産を売ろうと思った。でも乙不動産を売ると表示してしまった。
例2:100万円と表示したつもりだった。でも10万円と表示してしまった。
2.) 表意者Aが契約の基礎とした事情について、その認識が真実に反している錯誤(動機の錯誤)
取消しできない。→ Bの勝ち
例1:税金がかからない不動産取引だと思った。でも多額の税金がかかった。
例2:時速200キロ出る車だと思った。でも実際は180キロしか出なかった。
※ただし、表示(黙示の表示でも良い)をしていた場合は取消しできる(表示の錯誤に類似)(善意かつ無重過失) → Aの勝ち
上記1.2の場合において、表意者に重過失がある場合は取消しできない。相手方の保護が優先される為である。 → Bの勝ち
※相手方も重過失又は悪意の場合は取消しできる。 → Aの勝ち
※相手方も表意者と同一の錯誤に陥っている場合は取消しできる。
→ Aの勝ち
前回解説した心裡留保の考え方とほぼ同じですね!
3.) 第三者に関する関係
錯誤による意思表示の取消しは、善意かつ無過失の第三者C に対抗することはできません。→ Cの勝ち
※動画と一緒にこの記事を見てもらうほうが分かりやすいです。
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