遺言で遺言執行者が複数いる場合
遺言書で遺言執行者を2人または複数いるという場合があります。遺言執行者を2人以上つけた場合の良い点と注意すべき点について今回は解説していきます。
目次
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- 1.遺言執行者、複数指定することができる?
- 2.遺言執行者の職務の分担を指定している
- 3.遺言執行者の職務の分担を指定していない
a.遺言執行者、追加と就任の拒否
b.遺言執行者の報酬
- 4.遺言書の作成時には遺言執行者を検討しよう
- 5.まとめ
1.遺言執行者は複数指定することができる?
遺言執行者を遺言書によって選任しておいても、候補者の遺言執行者が遺言者より先に亡くなってしまうことがあります。このような場合に、残された遺族は困ってしまいます。このようなことを防ぐためにも遺言執行者は1人のみでなく、複数人を指定しておくことが良いでしょう。また、遺言執行者の存在を相続人が知らない場合には、遺言執行者は遺言を執行する前に相続人全員にその旨を伝えなければなりません。
2.遺言執行者の職務の分担を指定している
遺言執行者が複数いる場合、遺言により職務を分担している場合と、職務の指定をしていない場合があります。遺言書によって遺言執行者が行う職務をそれぞれで決めている場合、職務の分担にしたがって各遺言執行者がその執行をおこないます。また、複数の遺言執行者を指定する場合、親族など、専門家ではないときには職務の分担を指定しておくとスムーズに進みやすく安心でしょう。
3.遺言執行者の職務の分担を指定していない
遺言書で職務の分担を指定していない場合、遺言執行者の任務の執行を過半数で決めることになります。ただし、保存行為は単独によって各遺言執行者が行うことができます。保存行為とは、財産として価値のある資産や不動産などの現状維持を目的とした手入れ、修繕などを行なうことを言います。各遺言執行者が、様々な職務を単独で行えるようにするほうがスムーズで便利な場合もあります。遺言執行者の職務を専門家(弁護士、司法書士、行政書士など)に依頼することもあります。遺言執行者を複数指定し、その職務の分担を指定せず、各自が単独での執行ができるような規定を入れることもあります。
遺言執行者、追加と就任の拒否
遺言によって遺言執行者を指定されている場合でも、遺言執行者につくことを拒否することもできます。その場合、相続人に 遺言執行者とならないことを通知する必要があります。遺言執行者の指定をしていない場合、就任拒否をされた場合、遺言執行者を増やしたい場合、これらの場合において、家庭裁判所に相続人、利害関係人が選任請求をすることで選任してもらうこともできます。
遺言執行者の報酬
遺言執行者の報酬は、遺言書に報酬に関する記載などがあれば、それに従うことになります。遺言書に報酬額や支払いなどの方法を記載することで争いを予防することができます。遺言書に報酬額を記載していない場合、遺言執行者と相続人全員の話し合いをもっ報酬額を決定することになります。また、話し合いによって決定しない場合には、遺言執行者が家庭判所に申し出ることで報酬額を決定してもらうことができます。
また、遺言執行者の報酬は、相続人が全員で負担するべきものです。実務などにおいては、遺産から執行の報酬を支払い、残った額を相続人で分配する方法が取られています。遺言書に支払方法などが記載されていない場合においてはトラブルになってしまう恐れがあるので、遺言執行を行う前には事前に確認を取っておくことで、争いなどを予防することができます。
4.遺言書の作成時には遺言執行者を検討しよう
遺言書とは、自分の財産を死後、誰に託すかを事前に書き残した書面となりますが、自分の死後に遺言の内容を自分で実現することはできないので、自分の代わりにその遺言の手続きを実現してもらうために、遺言執行者を選任しておくとよいでしょう。相続人同士で、遺言の内容を実現することができれば、遺言執行者を選任する必要はありませんが、遺言執行者を選任しておくことで相続人の同意なく、相続人を代表して必要となる手続きなどを行うことができるので、相続人間での関係が良好ではない場合や、相続人が遠方に住んでいる場合でも遺言の内容を実現することができます。
5.まとめ
遺言執行者が遺言者によって選任されている場合でも、遺言者より先に亡くなってしまう可能性があるため、複数選任する必要を考えねばなりません。今回は、複数選任の話をしましたが、予備的遺言執行者を定めるのもよいでしょう。また、複数の遺言執行者を選任していても、職務を分担して行う定めをしているか否かで、手続きが円滑に進むか変わってきます。職務を分担せず任務の執行をする場合には過半数で決めることになりますので、事前に職務の分担を決めておくほうが良いでしょう。遺言によって遺言執行者に選任された場合でも、その意思がない場合には執行者を拒否することができます。また、相続人や利害関係のある人を遺言執行者に追加したい場合には、家庭裁判所に申し出ることで選任することができます。遺言執行者の報酬では、遺言書に遺言執行者の報酬額や報酬に関わる内容を記載しておくことで、のちの争いやトラブルを予防することができます。遺言書を作成する際は、遺言執行者の選任の有無を判断し、記入するかを検討してみましょう。
今回は、遺言で遺言執行者が複数いる場合について解説させて頂きました。司法書士法人やなぎ総合法務事務所では、遺言に関するご相談や、ご依頼を数多く扱っており、実務においても、遺言書作成に経験豊富な司法書士、弁護士、行政書士、税理士、土地家屋調査士、相続診断士、CFP 等の専門家がご依頼の内容に全力で取り組みます。
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