認知症対策のために証券会社が親族等の代理人に、保有している株式等を管理できるようにする信託の仕組みを活用した株式管理サービスを開始しました。

目次

1.証券会社が信託の仕組みを活用した株式管理サービスに参入した背景

2.株式管理サービスの特徴とは?

3.まとめ

1. 証券会社が株式の信託サービスに参入した背景

平均寿命が伸びると共に、判断機能の低下に伴う制約を受ける可能性が高まっています。2025年には65歳以上の認知症患者数が約700万人になると見込まれており、これは65歳以上の5人に1人が認知症患者という計算になります。認知・判断機能の低下によって自身の判断で金融取引が行えないことは、円滑な資本市場形成の妨げとなり、社会的な課題として危惧されています。

2.株式管理サービスの特徴とは?

(1)代理人による財産管理が可能になる

証券会社の株式管理サービスに事前に申し込み時に、配偶者またはお子様を代理人として指定します。認知症になった場合に代理人が専用口座の株式等を売却したり売却代金の出金が行えるようになります。

(2)相続手続きが容易になる

相続が発生した場合、戸籍謄本等を提示することで、受取人として指定した家族が財産を受け取ることが可能となります。

 

(3)株式投資の継続が可能になる

認知症と認定されるまで専用口座でも株式投資は継続することができます。また、株主優待や配当の受取も可能となっています。

3.まとめ

このサービスは、民事信託(家族信託)の際に資産管理をするために作成する信託専用口座とは異なるもので、月々の管理費用等も発生するため今後どこまで普及していくかは未知数ですが、株等の有価証券は民事信託制度を用いて管理をすることが普及しておらず、売却した上で売却金を信託財産として信託専用の預金口座等で管理するといった方法が多いため、株等の有価証券を保有する高齢者には便利なサービスかもしれません。

 

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