民法解説8 瑕疵ある意思表示 通謀虚偽 グルで嘘をついた意思表示
民法総則 (No.8)
法律行為・瑕疵ある意思表示
3.通謀虚偽表示
相手方と共謀して虚偽(嘘)の意思表示をすることをいいます。
例:A が税金の滞納による差し押さえ(強制的に売却)されるのを免れるため、所有する不動産をBに売却したかのように仮装する(仮装売買)
※これは当事者(AとB) にともに売買の意思はありません。
通謀(共同)して虚偽(嘘)の表示(売買)をしたという事です。
( 1 ) 効果
当事者である A・B間に、契約を有効にする意思がない。
当事者間(A・B間)の契約は無効です。
ただし、Bが第三者Cに不動産を売却し、Cが善意(AB間の売買が虚偽表示に基づくことを知らなかった)の場合。
Aは善意の第三者Cに対して対抗できない。
(AはCに無効を主張することができない)
※AはCに対して対抗できないだけで、当然にBには対抗できます。
AはBにたいして、無効を主張して損害賠償等の請求ができます。
➀売買(元売主) ②売買(現売主) 買主(第三者)
A B C
※当事者間 : 無効 : Aの勝ち
第三者との関係:Cが善意の場合(過失あっても良い):Cの勝ち
第三者との関係:Cが悪意の場合:Aの勝ち
( 2 ) 転得者がいる場合
C(第三者)がさらにD(転得者)に転売していた場合。
➀仮装譲渡 ②売買 ➂転売
A B C D
当事者 当事者 第三者 転得者
第三者Cまたは転得者Dのどちらかが善意であれば、Dは勝つ。
※仮にDが悪意の場合。
Cが善意の時点でCの勝ち。この時点でCの所有です。
Cが悪意のDに売却したとしても、Dは勝つという事です。
※C及びD双方共に悪意の場合は、全員悪意のなので、当然にAの勝ちです。