民法解説15 代理権の範囲について 代理権のこと理解できていますか?
民法総則 (No.15)
代理
- 代理権
( 1 )代理権の範囲
(権限の定めのない代理人の権限)
第百三条 権限の定めのない代理人は、次に掲げる行為のみをする権限を有する。
一 保存行為
二 代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為
1.) a. 任意代理人の代理権の範囲
契約(授権行為)により定められます。
b. 法定代理人の代理権の範囲
適用される法令により定められます。
2.) 代理権限に定めがない場合・権限の範囲が不明確な場合
➀保存行為 (現状維持行為)
例:生ものを、冷蔵庫・冷凍庫等で保存する
例:建物の修繕をする(壊れたところを直す)
②利用行為 (収益行為)
例:短期の賃貸借をする
➂改良行為 (価値増加行為)
例:造作(床板・陳列棚・畳・建具の類)をすること
建具:戸・障子・ふすまなど、開閉して部屋をしきるもの。
※性質を変更するような行為はできない
例:農地を宅地にするなど
( 2 )代理権の濫用
(代理権の濫用)
第百七条 代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。
本人
A
本人に効果帰属?
➀代理権
C B
代理人 ②代理行為(権限濫用) 相手方
1.) 代理人が自己または第三者の利益を図る目的で代理権の
範囲内の契約をした場合をした場合
→ 有効(本人に効果帰属) 相手方の保護
2.) 相手方がその目的について悪意又は有過失の場合
→その行為は無効(無権代理人となる)
※代理人は本人の利益のために行為をしなければならない。
(代理人の忠実義務・善管注意義務)
※無権代理人については後日、学びます
( 3 )自己契約・双方代理の禁止
(自己契約及び双方代理等)
第百八条 同一の法律行為について、相手方の代理人として、又は当事者双方の代理人としてした行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。
2 前項本文に規定するもののほか、代理人と本人との利益が相反する行為については、代理権を有しない者がした行為とみなす。ただし、本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。
1.) a.代理人自ら契約の相手方となること
(自己契約・利益相反行為)
b.当事者の方双の代理人となること(双方代理)
→ 無効(無権代理人となる)
※代理人は本人の利益のために行為をしなければならない。
(代理人の忠実義務・善管注意義務)
※無権代理人については後日、学びます
2.) 例外:下記の行為は → 有効(本人に効果帰属)
➀本人があらかじめ許諾した行為
②債務の履行・本人の不利益となるおそれのない行為
※登記の申請行為