【公正証書】離婚で定めるべき大事なポイント!
目次
1 離婚協議書を公正証書で作成するメリット・デメリット
1-1 離婚協議書を公正証書で作成するメリット
1-2 離婚協議書を公正証書で作成するデメリット
2 離婚で定めるべき大事なポイント
2-1 離婚で定めるべきこと
2-2 公正証書記載例
3 離婚公正証書の作成方法
4 まとめ
1 離婚協議書を公正証書で作成するメリット・デメリット
「離婚をするときは公正証書を作った方がいいと聞いたことがある」という方もおられると思います。以下では公正証書で作成した場合のメリット・デメリットを説明することで離婚協議書を公正証書で作成した方がいいと言われる理由ついてみていきます。
1-1 離婚協議書を公正証書で作成するメリット
メリットの一つとしては養育費等を相手方が支払ってくれない場合の強制執行の手続きが簡略化されることです。公正証書がない場合、養育費等を支払ってくれない相手方に養育費等を請求する方法としては裁判所に訴訟を提起することが考えられます。訴訟になると判決が確定してから強制執行の手続きを進めていくことになります。強制執行認諾文言付きの公正証書がある場合、強制執行の手続にすぐに進めます。
なお、公正証書により強制執行をする場合、法律の要件を満たす必要があります。
他のメリットは後日の紛争の防止や原本の紛失を防ぐことができることです。
例えば口頭で離婚に関する約束をした場合、相手方に「そんなことをいっていない。」等と言われ争いになる場合が考えられます。
仮に公正証書以外の文章で作成した場合でも「その文章は偽造だ」等と言われ争いになる場合が考えられます。公正証書を作成することで上記のようなことを回避することができます。また公正証書の原本は公証役場で保管されるため原本の紛失を防ぐこともできます。
1-2 離婚協議書を公正証書で作成するデメリット
デメリットの一つとしては公正証書を作成するために費用が多くかかる点です。
離婚協議書を公正証書で作成しない場合は当事者で文章を作成するのみであるため、法律家に依頼するよりも費用はかからなく、安く済みます。
また、公正証書を作成する場合は公証役場へ手数料を支払う必要があります。
手数料については日本公証人連合会のホームページ
(https://www.koshonin.gr.jp/notary/ow12)をご覧ください。
他のデメリットは作成に手間がかかることです。公正証書を作成するには公証役場での手続きが必須であり、公証人との打ち合わせ等、時間を要することになります。
しかし、費用がかかりますが公正証書で作成する方が強制執行認諾文言付きの公正証書がある場合、強制執行の手続にすぐに進められ、紛争の防止といったおおきなメリットがあるため、公正証書で作成することをお勧めします。
2 離婚で定めるべき大事なポイント
「離婚をしようと思うのですが、離婚する際に何を夫婦で話し合い、決めればいいかわからない。」という方が多いと思います。以下では離婚で定めるべき大事なポイントについて説明していきます。
2-1 離婚で定めるべきこと
離婚で定めるべきことは基本的に以下の表のとおりです。
離婚の合意 | ・離婚の合意 |
子供に関すること | ・親権(監護者)
・養育費 ・面会交流 |
お金に関すること | ・慰謝料
・財産分与 ・年金分割 ・婚姻費用の清算 ・清算条項 |
その他 | ・連絡先の通知義務
・強制執行承諾約款付公正証書作成への合意 |
以下で具体的に説明していきます。
・離婚の合意は
離婚の合意は夫婦が離婚に合意していることを記載します。
・親権(監護権)
夫婦に未成年の子供がいる場合、親権者が誰かを定めます。なお、離婚届にも必ず夫婦のどちらかを親権者と定める必要があります。
親権は、子どもの身上監護と財産管理に分けられます。身上監護とは親が子どもを監護し教育する権利義務のことをいい「監護権」といわれています。具体的には子どもの近くで、子どもの世話や教育をする親の権利義務です。夫婦に未成年の子供がいる場合、監護者が誰かを定めます。なお、親権と監護権は別々に定めることが可能です。
・養育費
子どもがいる場合、養育費の支払額・支払日・支払期間・支払方法等を具体的に定めます。
・面会交流
面会交流とは離婚後、子供と同居していない親が子供と面会・親子としての交流を行うことをいいます。面会交流については面会の頻度や面会交流の実施方法等を具体的に定めます。
・慰謝料
慰謝料についても養育費と同様に支払額・支払日・支払期間・支払方法等を具体的に定めます。
・財産分与
財産分与は婚姻期間中の夫婦の財産を、離婚の際にどのように分配するかについて記載します。具体的には財産分与の対象財産、どの財産を誰が取得するかについて記載します。なお、婚姻期間中であっても夫婦の一方が相続により取得した財産等、財産分与の対象外となるものがあるので注意が必要です。
・年金分割
年金分割は、婚姻期間中に納めた厚生年金等を離婚時に分配し、それぞれ自分の年金とすること制度です。年金分割の有無、分割割合等を定めます。
・婚姻費用の清算
婚姻費用は、夫婦が婚姻生活継続のために双方が負担すべき費用のことです。別居期間中でも、費用負担を負担する必要があります。婚姻費用の相手負担額、支払期限・方法等を定めます。
・清算条項
清算条項は、離婚協議書に記載したこと以外に何ら債権債務も有しないことを確認する条項です。
・連絡先の通知義務
離婚後に住所や勤務先等が変更された場合は、相手側に通知する義務を定めます。相手方が養育費等を支払ってくれない場合、相手方の連絡先が分からないと請求が困難になるからです。
・強制執行承諾約款付公正証書作成への合意
相手方が養育費等を支払ってくれない場合に直ちに強制執行に服することを記載します。この記載がない場合、強制執行の手続にすぐに進めることができません。
2-2 公正証書記載例
以下は公正証書の記載例です。
令和●年第 号
離婚等公正証書 本職は、当事者の嘱託により、下記の法律行為に関する陳述の趣旨を録取し本証書を作成する。 第1条(離婚の合意) 夫 ●(以下「甲」という。)と妻 ●(以下「乙」という。)は、本日、協議離婚する(以下「本件離婚」という。)ことに合意し、乙は速やかに離婚届出を行うことを合意する。 (中略) 第○条(強制執行認諾) 甲は、第○条及び第○条の金銭債務の履行を遅滞したときは、直ちに強制執行に服する旨陳述した。 |
3 離婚公正証書の作成方法
離婚公正証書は公証役場で作成する必要があります。公証役場に予約をし、公証人と作成前に公正証書について打ち合わせをします。日本公証人連合会のホームページ(https://www.koshonin.gr.jp/notary/ow11)によると必要書類等は以下のとおりです。
①印鑑登録証明書と実印
②運転免許証と認印 ③マイナンバーカードと認印 ④住民基本台帳カード(写真付き)と認印 ⑤パスポート、身体障害者手帳または在留カードと認印 上記①~⑤うちのいずれかをご準備ください。なお、公正証書の種類によっては、特定の資料に限定される場合もあります。 ⑥戸籍謄本 公正証書作成後に離婚する場合は、現在の家族全員が載った戸籍謄本を、離婚済みの場合は当事者双方の離婚後の戸籍謄本をそれぞれご準備ください。 ⑦不動産の登記簿謄本(登記事項証明書)および固定資産税納税通知書または固定資産評価証明書 離婚給付契約中に、財産分与として、不動産の所有権を相手方に移転する場合に必要となります。 ⑧年金分割のための年金手帳等 年金分割の場合、当事者の年金番号を公正証書に記載する必要がありますので、当事者の年金番号が分かる年金手帳、年金情報通知書等をご準備ください。 ⑨手数料 |
4 まとめ
以上が、離婚で定めるべき大事なポイントについてのお話でした。ここまでのお話をまとめたものが以下の表です。
離婚協議書を公正証書で作成するメリット・デメリットとは? | ・メリット
強制執行の手続きの簡略化 後日の紛争の防止や原本の紛失を防ぐこと ・デメリット 費用が多くかかる 手間がかかる |
離婚で定めるべき大事なポイント | ・離婚の合意
・親権 ・養育費 ・面会交流 ・慰謝料 ・財産分与 ・年金分割 ・清算条項 ・連絡先の通知義務 ・強制執行承諾約款付公正証書作成への合意 |
離婚公正証書の作成方法 | ・公証役場で作成する必要・公証役場に予約、公証人と打ち合わせが必要
・必要書類等 ①印鑑登録証明書と実印 ②運転免許証と認印 ③マイナンバーカードと認印 ④住民基本台帳カード(写真付き)と認印 ⑤パスポート、身体障害者手帳または在留カードと認印 上記①~⑤うちのいずれか ⑥戸籍謄本 ⑦不動産の登記簿謄本(登記事項証明書)および固定資産税納税通知書または固定資産評価証明書 ⑧年金分割のための年金手帳等 ⑨手数料 |
離婚協議書を作成するためには、法律に関する知識が必要であったり・公証役場との打ち合わせが必要であったりなど大変なことも多いと思われます。円滑に離婚公正証書を作成するためには専門家の助けを借りるほうがいいと思われます。
司法書士法人やなぎ総合法務事務所では、大阪(阿倍野区・阿倍野、天王寺)、東京(渋谷区・恵比寿、広尾)事務所にて「無料相談・出張相談」も受け付けております。どんな些細なご相談も親身になり耳を傾け、どのようなご依頼でもお客様のご希望、目的に近づけるよう励みます。お気軽にご相談、お問い合わせください。
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監修者情報
代表 柳本 良太
- <保有資格>
- 2004年 宅地建物取引主任者試験合格
- 2009年 貸金業務取扱主任者試験合格
- 2009年 司法書士試験合格
- 2010年 行政書士試験合格
- <所属>
- 司法書士法人 やなぎ総合法務事務所 代表社員
- 行政書士法人 やなぎKAJIグループ 代表社員
- やなぎコンサルティングオフィス株式会社 代表取締役
- 桜ことのは日本語学院 代表理事
- LEC東京リーガルマインド資格学校 元専任講師