民法解説7 瑕疵ある意思表示 公序良俗
民法総則 (No.7)
法律行為・瑕疵ある意思表示
- 基本的な考え方
瑕疵ある意思表示(A・B)は,無効の主張・取消しができるのが原則です。
1.) AB 間の瑕疵
公序良俗違反,通謀虚偽表示、心裡留保
→無効の主張ができる
制限行為能力者、錯誤、詐欺、強迫
→取消しができる
2.) 表意者と第三者との関係【A・C間】
表意者 当事者 第三者
A B C
➀ AB間が有効の場合
→Cは原則、保護される (C の善意・悪意は関係ない)
=AはCに対抗できない
② AB 間が無効・取消しの場合
→Cは、原則として、保護されない
=A は C に対抗できる
※AB 間の瑕疵の内容(公序良俗違反,通謀虚偽表示、心裡留保制限行為能力者、錯誤、詐欺、強迫)により結論が異なります
※C(第三者) が悪意なのか善意なのかによって、結論が異なります
- 公序良俗違反
( 1 ) 公序良俗違反とは
公序良俗違反とは、公の秩序や善良の風俗(公序良俗)に反する契約を いいます。Aの困窮などに乗じて不当な利益を得るBの行為のことです。
例:お金貸すから、犯罪をしろ(誰か殺してこい等)
( 2 ) 効果
公序良俗違反の契約は、反社会性であり、その効力を絶対に認める事ができません。当事者間(AB間)の契約は絶対的無効です。
第三者(C)との関係でも、表意者(A)は、常に保護されます。
※第三者(C)は、善意であっても(AB間が無効であることを知らない)また対抗要件(登記等)を備えていても保護されません。
当事者 当事者 第三者
A B C
このように公序良俗違反の場合のほか、前述した制限行為能力者が取消しをした場合や、後述の強迫の場合には、原則どおり、第三者に対して権利を主張することができます。
今後学ぶ他の瑕疵ある意思表示のように、例外もあります。
まずは、その例外の1つである通謀虚偽表示を見ていきましょう