民法解説14 はじめてのおつかいは無権代理!?
民法総則 (No.14)
代理
- 代理による法律行為
( 1 )顕名を欠いた場合の効果
(本人のためにすることを示さない意思表示)
第百条 代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、自己のためにしたものとみなす。ただし、相手方が、代理人が本人のためにすることを知り、又は知ることができたときは、前条第一項の規定を準用する。
※前回のブログでもあげましたが、代理権の成立要件を思い出してください
本人
A
本人に効果帰属
➀代理権
C B
代理人 ②代理行為(顕名) 相手方
➀代理権の授与(授権又は法令)=任意代理・法定代理
②代理権の範囲内にて本人の為にする事を示す =顕名
1.) 上記②の顕名をしなかった場合C(代理人)は自分自身の
為に当事者として契約をしたものとされる。
→Aに効果帰属しない
2.) 例外
相手方Bが本人のためにすることを、知っていたとき
または知ることができたとき(悪意又は有過失)
→本人Aに効果帰属 =通常の代理が成立する
( 2 )代理行為の瑕疵
(代理行為の瑕疵)
第百一条 代理人が相手方に対してした意思表示の効力が意思の不存在、錯誤、詐欺、強迫又はある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。
2 相手方が代理人に対してした意思表示の効力が意思表示を受けた者がある事情を知っていたこと又は知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。
3 特定の法律行為をすることを委託された代理人がその行為をしたときは、本人は、自ら知っていた事情について代理人が知らなかったことを主張することができない。本人が過失によって知らなかった事情についても、同様とする。
1.) 瑕疵ある意思表示(錯誤・詐欺・強迫等)があったかどうか、
相手方や第三者の善意か悪意か、有過失か無過失かなど事実の
有無については、代理人Cで判断する
→無効や取消しが出来る場合は、本人Aが無効や取消しをする
※別途取消権の授権が代理人にあれば、代理人も取消しできる
※瑕疵ある意思表示はそれぞれの分野で復習しましょう
2.) 特定の法律行為(売買など)をすることを委託された代理人C
が、その売買をしたとき。
→本人Aが悪意の場合
代理人は知らなかったと主張することはできない。
※本人Aは瑕疵ある事を分かりながら、代理人に契約を
させているためである
( 3 )代理人の行為能力
(代理人の行為能力)
第百二条 制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。ただし、制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為については、この限りでない。
1.) 代理人は制限行為能力者でもなれます。
例:未成年の子どもにお使いを頼む(初めてのおつかい)
→ 本人Aは代理人Cが未成年者(制限行為能力者)で
あることを理由に取り消すことはできない。
2.) 制限行為能力者Cが他の制限行為能力者Aの法定代人
としてした行為については、取り消せます。
例:未成年者Aの父親Cが後見開始の審判を受け、成
年被後見人となった場合などです
※初めから制限行為能力者を選任している訳ではない