手書きの遺言で「争族」減へ 7月から法務局で保管可能

手書きの自筆証書遺言を法務局へ預けられる制度が7月10日から始まりました。
これまでの自筆証書遺言は自宅などで自ら保管することが多く、遺言書の紛失や相続人による破棄、隠匿、改ざんの恐れがありました。
昨年は戦後最多の138万人が亡くなるなど相続が大量に起きる時代に入っており、相続をめぐるトラブル「争族」
とも呼ばれる遺族間の紛争などを減らすのが目的です。
今回はこちらの制度について2回に分けてお話をさせて頂きます。

目次
1、 遺言とは
2、 自筆証書遺言
3、 公正証書遺言
4、 自筆証書遺言の保管制度
(a)メリット
(b)デメリット
5、 まとめ

1、遺言とは?

本人の最終意思を確認するもので、満15歳以上の者は遺言をすることができます。
※成年後見人の場合は医師2人以上の立会いの下、正常な判断力回復が確認された場合にのみ遺言をすることができます(民法第973条)
補助人や保佐人は単独で可能です。弊所では医師の診断書をもらっています。

主に本人だけで書ける自筆証書と、公証人が作成する公正証書遺言の2方式があります。
他にも秘密証書遺言(民法第970条)など様々な遺言もあります。

2、自筆証書遺言

自筆証書遺言は遺言者の自筆が条件で(※2018年相続法改正により財産目録についてはパソコンなどの自筆以外でも可能となりました)公正証書遺言よりも手軽に作成可能ですが、記載ミスが起きやすく、内容によっては無効となることもあります。
自分で保管する場合も多く、遺族が見つけられなかったり、改ざんされたりする恐れもあります。
また相続の開始を知った後、遅滞なく裁判所に提出して検認手続きをしなければなりません。(民法1004条第1項)
弊所にも相続開始後、親の自筆証書遺言を持って来られたり、相談される事がよくありますが、記載内容や記載方式が法律上の要件に満たさず、無効になってしまった遺言が多々ありました。
ですので、無効にならない為にも内容のチェックや原案の作成を行政書士や司法書士、弁護士に依頼されてはいかがでしょうか?

次回に引続き遺言についてお話させて頂きます。

今回は「公正証書遺言、自筆証書遺言、遺言書保管制度のメリット、デメリット」についてです。

3、公正証書遺言とは?

公正証書遺言は、遺言内容を公証人に口授し、公証人が証書を作成する方法で、事前の打ち合わせをして遺言を作成するので内容の整ったものを作成することができます。

遺言書原本は公証役場にて保管されるので紛失や改ざんされることもありませんし検認手続きも不要です。

遺言書の原案は行政書士や司法書士、弁護士が作成する事も多いです。

弊所で遺言作成する場合は公正証書遺言がほとんどです。

公証人への費用は別途かかります。

4、自筆証書遺言の保管制度とは?

全国312の法務局が7月10日から1件3900円の手数料で遺言書を預かる制度が始まります。

保管先は遺言者の住所地・本籍地・所有不動産のある地のいずれかの地域の法務局で、本人が自ら出向いて手続きが必要です。

法務局で保管される遺言書については検認手続き不要です。

手続き時に職員が日付や押印の有無など形式の不備をチェックします。

自ら保管するより遺言が無効となる可能性は減りますが、

あくまで「遺言を書く能力があるか、無理に書かされていないか、本人の意思を反映して正確に書けているかなどは判断できない」ため、預ければ有効と保証されるわけではありません。

(a)メリット

  • 遺言者が遺言書を紛失したり、相続人や受遺者が遺言書を見つけれなかったり、偽造、破棄、隠匿、改ざんといったリスクを防げます。
  • 申請時に遺言保管官が、遺言書が法務省令に定める様式に則っているかどうかを確認するので、様式不備により形式的に遺言が無効になることを避けることができます。
  • 遺言書の存在の把握が容易です。

(b)デメリット

  • 法務局に行って申請しなければならない
  • 手数料がかかる
  • 遺言書保管の有無を照会しなければ、存在が知られないまま相続手続きがなされる可能性があります。
  • 自筆証書遺言の保管制度はあくまで「遺言を書く能力があるか、無理に書かされていないか、本人の意思を反映して正確に書けているかなどは判断できない」ため、預ければ有効と 保証されるわけではありません。

まとめ

自筆証書遺言を書いてご自身で保管することや改ざんの不安がある方は遺言書保管制度を利用すると安心できるので良いかと思います。

これにより遺言者の最終意思の尊重や相続手続きの円滑化につながります。

ただし、法務局の遺言保管所では遺言書の書き方は教えてくれません。

あくまで様式に不備がないかという形式的なところだけなので、ご自身で自筆証書遺言を作成する場合は記載内容に不備があると無効となりますので、一度遺言書の作成を司法書士や行政書士、弁護士などの専門家に相談するのが良いかと思います。

遺言で確実に財産を残したい場合は弊所相続・遺言・家族信託の専門家の意見といたしましては、遺言書の原案作成は法律家にお願いすることをオススメします。

弊所は実績経験共に豊富なので、ご相談者様の財産や状況に合う内容を的確に判断し、作成させて頂きます。

弊所でも遺言書の預かりサービスをやっております。

他にサービスの一環として、残されたご家族様に伝えておきたいことや、言えなかったこと、感謝の気持ちなどを動画に残す「遺言ビデオレター」の作成も可能です。

映像データで残すことにより、リアルなご本人の声や顔も想いもしっかり残せます。ご希望の方は是非ご相談ください。

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